アレルギー性鼻炎
発生の仕組みとその対策
症状の特徴
発作的に繰り返し起こるくしゃみ、多量の鼻水、鼻づまり
この3つが、アレルギー性鼻炎の代表的な症状です。
いわゆる鼻風邪です。
アレルギー性鼻炎では、このほかに嗅覚障害を起こしたり、頭重感や体のだるさを伴い、アレルギー性結膜炎や気管支喘息を併発したりします。
また、鼻やのどの粘膜が弱くなっているため、細菌の感染による炎症も起こりやすいのです。
原因となる物質
空気中にはさまざまのアレルゲンが浮遊していて、呼吸のたびに吸い込むため、鼻は体の中でも最アレルギー反応が起こりやすい部位となっています。
アレルギー性鼻炎に関係の深いアレルゲンには、ハウスダスト(室内塵)、花粉、動物の体毛やフケ、カビの胞子などがあります。
ハウスダストとは室内で発生するほこりのすべてをいいますが、その中でもアレルギー を起こす原因物質として、ほこりにつくチリダ二の死骸や排泄物が重要視されています。
このほか、ある種の薬物、まれに牛乳、卵、大豆などの食品が原因となる(特に小児)こともあります。
日常生活での誘因
次のようなことが、しばしば発作のきっかけになります。
- 気温が急に変化したとき
- 体が冷えたとき
- ほこりや刺激臭を吸ったとき
- ストレスがたまっているとき
花粉症のご相談
主なものとして、1月中旬~4月のスギ花粉症、3~5月のヒノキ花粉症、5~6月のイネ科花粉症(カモガヤ花粉症など)、9~11月の秋の花粉症(ヨモギ花粉症、ブタクサ花粉症)などがあります。主な症状は、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどです。
のどの痛みやかゆみ、微熱などの症状が出る方もいます。

花粉にアレルギーがあるかどうかは、血液検査によって調べることができます。
当院でも、ご希望の方には検査しています。
※検査結果が出るまで数日間かかります。
アレルギー検査の結果と対処法
アレルギー検査によって、どの花粉に対してアレルギーがあるのかがわかりますが、花粉の種類によって治療法が変わることはありません。
ただ、何に対してアレルギーがあるのかがわかれば、予め対策をとることができます。
例えば、スギ花粉症の方は、スギ花粉が飛散し始める1月中旬くらいからマスクを着用したり、あらかじめ抗アレルギー薬を服用したり、スギの多い地域への旅行などを見合わせたりなどの対策をとることができます。
あらかじめ対策しても100%無症状ですごせるわけではありませんが、以前よりかは花粉シーズンを楽にすごせたという方もいらっしゃいます。
一般的に、花粉症の治療には、薬物療法・レーザー治療・減感作療法などがあります。
当院では、抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬などの内服薬や点鼻薬・点眼薬などの外用薬による薬物療法が中心になります。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔に炎症が広がることによって起こる病気です。
慢性副鼻腔炎の治療法は、主に“薬物療法”と“局所療法”、そして“手術療法”に分けられます。
最近は優れた薬剤が登場し、手術することが少なくなりました。
また、手術も身体への負担が少ない内視鏡手術が行われるようになっています。
- 薬物療法
- 局所療法
- 内視鏡手術
慢性副鼻腔炎の治療
薬物療法
症状に合わせて次のような薬を使います。
- 抗菌薬:病原細菌の増殖を抑える。
- 消炎酵素薬:炎症を抑える。
- 粘液溶解薬:分泌物を排泄しやすくする。
最近では、マクロライド系抗菌薬が細菌の増殖を抑えるだけでなく、炎症や鼻みずの改善効果があることがわかり、慢性副鼻腔炎の治療に広く用いられています。
いずれの薬も数週間の服用が必要となります。
医師の指示を守り、根気よく治療することが大切です。
局所療法
まず、鼻腔や副鼻腔にたまった分泌物を吸い出し、洗浄します。
鼻の通りがよくなったら、ネブライザーという装置で、必要に応じて抗菌薬やステロイド薬、粘液溶解薬を副鼻腔に直接送り込んで治療します。
内視鏡手術
内視鏡を利用して、副鼻腔と鼻腔の通路を広げて、空気や分泌物の出入りをよくすることを目的に行う手術です。
薬物療法や局所療法で効果のない場合や、重症の患者さんに行います。
手術後は、薬物療法を継続して、再発を防止します。
鼻茸だけを取り除く手術を行うこともあります。